現役中学校教員のテクです。
現代の教員は、非常に保護者に気を遣いますね。むしろ子どもより保護者の方に気を遣っている気が・・・
いくら気を遣っていても、来るときは来ます、クレーム。
・先生の面倒見が悪くて成績が落ちた! |
・先生が変なことを言ったせいで、家でも真似して気分が悪い! |
・先生に叱られたせいで学校に行きたくないと言っているから何とかしろ! |
・友だちから仲間外れにされた!なんでちゃんと見ていないんだ! |
・給食で嫌いなものが出た!そのメニューは二度と出さないようにしろ! |
・担任の顔が気に入らないから担任を変えろ! |
それはもう、ありとあらゆるものが。
「は?」
と思うものも正直あります。
ですがこちらも人間。やはりクレームが来ると落ち込みます。
もう教師を辞めてしまおうか。そんなことを何度も考えました。
そんな僕が、多くの保護者と話をする中で、「なぜ保護者はクレームを入れるのか?」、僕なりに感じたことを紹介します。
また、クレームがあったときはどうしたら良いか、その手立ても一緒に。
これを読めば、保護者からクレームが来て落ち込んでいるあなたの気持ちが、少し軽くなります。
なぜ保護者はクレームを入れるのか?
クレームを入れる保護者の心理パターンは、主に4つです。
- 自分の子がとにかく可愛い
- 親である自分の育て方を認めてほしい
- 保護者としての権利を勘違いしている
- 学校への過度な期待
自分の子がとにかく可愛い
これは親であれば、ごく当然の感情です。自分の子が世界で一番なんです。
だからこそ、自分の子を一番に考えてほしい、見てほしい、愛してほしい、のです。
なので、自分の子がぞんざいに扱われたり、蔑ろにされると怒るのです。
自分の血肉と魂を分けた人間ですからね。やっぱり親にしてみたら、子どもは可愛いものなんですね。
自分の宝物を雑に扱われたら、人間怒ると思います。
その感情と似ていると思います。
親である自分の育て方を認めてほしい
裏を返すと、「子育てに対して不安を抱いている」ということです。
我々教員は何人もの子どもをこれまで見ていますから、何となくその子について客観的な視点は持てます。それは普段身近にたくさんの子どもがいるからです。
ですが親にとって、身近な子は自分の子だけです。
だから、分からないんです。
本当にこの育て方でいいの?
毎日不安なんです。自分の子はちゃんと育っているのか、勉強は付いていけているのか、友だちはいるのか、先生に嫌われていないか、周りの人に迷惑は掛けていないか・・・などなど。
そんな不安を抱えている中、自分の子どもが学校で何かして先生に少し叱られた、とか、先生から電話が来て少し何か言われた・・・
そうなると、「自分の子育てへのダメ出し」に聞こえてしまうんです。
こんなに頑張って育てているのに・・・
私の育て方が悪かったの・・・?
そう思ってしまうんです、親ですから。
その気持ちのはけ口が、学校に向かうとクレームに繋がりがちです。
保護者としての権利を勘違いしている
これが結構厄介な保護者心理でして・・・
最近の保護者は、この意識が強いように思います。
「親は子どもを守るために、学校に何を言ってもいい」
そんな訳ありません。保護者が上で学校が下、のような構図があるわけないんです。
誰だって自分の子が可愛い。それは分かります。
でもだからと言って、自分の子が世界の中心で回っているわけではありません。
学校と家庭は対等です。子どもはみんなで育てていくんです。
子育ての基本は家庭教育だとは思いますが、イコール学校より保護者の方が立場が上、ではありません。
「自分の子どものために」、として、自分の権利を主張してくる親がいることも事実です。
学校への過度な期待
・「学校なんだから、これくらいしてくれて当たり前!!」
いやいや、出来ることと出来ないことがあります。
自分の子どもが、出来る限り良い環境で育ってほしい、という気持ちの裏返しなんですけどね。
ですがその気持ちが行き過ぎる保護者もいます。
学校で何でも教えてくれる訳ではありません。
「最近子どもが門限を守らないから、学校でも叱ってほしい」
僕が実際に保護者から受けたものです。
それは親であるあなたの役目なのでは?
と思いましたが・・・
そうやって学校に「期待」をしてしまうが故にクレームになってしまう件もあります。
少し見方を変えてみよう
保護者の方からのクレーム、落ち込みます。
僕も散々落ち込みました。
ですがここで少し見方を変えてみましょう。
クレームを入れる保護者には4つの心理があると言いました。
でもどんな心理にも、共通しているものがあります。それは、
「親としての願い」
なんです。
ですから、その親としての願いをたくさん聞いてあげることが、クレーム対応ということなんだと思います。
「自分の子どもの幸せのために」は、もう少し掘り下げると、
「子どもの幸せが、自分の幸せに繋がるように」
なんです。
なので、その保護者の方が幸せになるための話を聞いてあげるのが、クレーム対応だと考えると、少し前向きになれないでしょうか。
めんどくさいなあ・・・
何か嫌なこと言われるんだろうなあ・・・
そう思うのは分かります。ですが、少し見方を変えることで、クレーム対応に対する先生たちの気持ちが少し楽になると思います。
では実際にどう対応するのか?
保護者のクレーム対応は、以下の手順で進めましょう。
- 保護者の話を誠心誠意聞く
- 保護者と一緒に手立てを考える
- 必要ならば管理職にも相談する
- 手立てを実行する
保護者の話を誠心誠意聞く
ここが最も大切な段階です。
「親としての願い」
をしっかりと受け止めましょう。
クレームは一見、先生に対してのダメ出しに聞こえますが、そうではないんです。
親としてこうしたい!!という気持ちを、たくさん聞いてあげてください。
どう話を聞くと効果的かは、またどこかで記事にします。
保護者と一緒に手立てを考える
そうしたら、では実際にどうすると良いのかを考えましょう。
ですが一つ注意点があります。それは、
「いきなり手立てや解決策を考えてはダメです」
これ、絶対に守ってください。保護者の願いを受け止める前に手立てを提示すると、ほぼ100%失敗します。
例えばこんなクレームが入りました。
「嫌いな子と席替えで隣になったから席替えをしてほしい」
さて、どうしますか?
「そうですか・・・こちらも気が利かず申し訳ありません。明日、早急に席替えをやり直します。」
絶対にダメです。
保護者は本当に「席替えをしてほしい」のでしょうか?
そこが見えていません。
クレームは保護者の願いと言いました。
願いというのは、ある種目的、つまりゴールです。
ゴールが分からないのに、手立てを考えても、暗闇の中適当に走っているのと変わりません。
なので、まずは保護者の願いをしっかり聞いてから、手立てを考えましょう。
必要ならば管理職にも相談する
必要ならば、というか、クレームを受けたら管理職に相談しましょう。
悪質な場合は、校長や教頭が出ていく場合もあります。
また、どうしようもなくなったら、最終的には管理職に引き受けてもらえば良いんです。
そういう時のためにいるのが管理職です。
こちらの最後の切り札として、管理職に任せる、ということも考えておきましょう。
手立てを実行する
保護者の願いが分かって、一緒に手立てを考えたら、それをしっかり実行しましょう。
そして実行したら終わり、ではなく、その後の経過も保護者に電話等で伝えていけるとベターです。
「あなたの子どものことを、これからも大切に見守っていますよ」
という思いを、しっかり行動で伝えましょう。
そうすると、保護者も安心します。
保護者にバシッと言うのも時には大切
それでも理不尽な保護者はいます。もはや宇宙人と喋っているのか、と言うくらい話の通じない人もごくたまに現れます。
ですが、クレームを入れてくる保護者って、「自分が学校から厳しいことを言われる覚悟がない」人が多いです。
そういうあからさまに上下関係を勘違いしている保護者には、厳しく言っても良いんです。
僕も実際に言ったことが何度かあります。
「自分の権利ばかり主張して、こちらの話は何一つ耳を貸さない。それが大人のやることなのでしょうか?学校としてのあるべき姿を問う前に、ご自身の今のお姿が親としてあるべきなのかを考えましょう。」
丁寧に言うとこんな感じです。
若かりしときは、電話口で保護者に怒鳴ってしまったこともありました。
怒鳴らずとも、かなりキツい言葉で保護者に怒りをぶつけることもありました。
もちろん管理職に絞られました。
それでも、こう言ってくれた人がいたんです。
「そうやっておかしいものはおかしいと、保護者に対してちゃんと言える先生が必要なんだよ。」
僕も、理不尽すぎたり、相手への尊厳を無視するような態度に対しては、言ってもいいと思います。
先生たちが下手に出すぎる必要はありません。
「おかしいものはおかしい」
と言える勇気も持ちましょう。
結構スカッとしますよ(笑)
まとめ
・クレームは保護者の願い
そう考えてみてください。そうすると、少し今までと違う風にクレームに向き合えると思います。
それでもどうしようもなくなったら、周りの人の力も借りていいんです。
最終的に逃げても良いんです。
先生たちが、また明日から幸せに仕事が出来ますように。
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